心仿(シンファン)/阿拘

「所詮幻だというのに」

反魂香は、死者の姿を映し出すという。
嘲笑い、黄泉に煙をふかす彼には、「死者に会いたい」という人間の願いが纏わりつく。
彼を照らすのは提灯を象った命の灯火。
永く生き過ぎた彼は、そこに何の感傷も感じることは無い。
しかし、常に気だるげな彼にもその昔、愛すべき人がいたそうな。
たとえ人ではなくなったとしても、愛しい人と“生きて”いたかった彼こそが、最も幻を求めているのかもしれない。

そんな彼は、今日も人間と死人に夢をみせる。


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