かなさた/イデア論

「おかしいだろ、家畜を弔う様なものなのに。」

人間と天狗の間に生まれてしまった、人間にも天狗にも忌み嫌われている青年。
女性のような姿をしているが、それは彼が生きるために食べた女性の姿によく似ている。
彼は人間の血も入っているため、人間に必要な栄養を取らなくてはならない。しかし、普通の人間では無い彼は、普通の人間の何倍もの栄養を必要とされた。
普通の人間と同じくらいしか食べることが出来ない彼は、そのうち痩せこけ、ボロボロになる。もう死ぬ。そう思われた時、そこに現れたのは幼い頃から世話になっていた独り身の少女だった。
彼女は彼を愛していた。そして身を差し出したのだ。

人間1人の栄養は、彼が寿命分生きるのに十分な量だった。

彼はその少女が自分が生きるために作られた人間だということを知っていた。母親たちが、せめてもと作った、言わば腹違いの妹だ。
そして、彼女も自分が生まれた意味をわかっていた。

彼が彼女を見る目は、妹と言うよりは、家畜のはずだった。
喜んで彼女にかぶりついた彼だったが、涙が出て止まらない。
うさぎ同様、目が赤くなったのはそのせいだという。
彼がつけているお面は、彼女が最後に渡してくれたもの。髪は、彼女が最期に触れてくれたもの。
彼はそれをいつまでも大切にしている。

彼女が姿を消したあとに現れた謎の神社。養分が足りなく、雑草すら生えない土地に現れた神社。
誰も立ち寄ることは無いはずなのに、誰が管理をしているのか、その神社が汚れ、壊れることは無い。

戻る

Copyright © Kyoto Seika University Character Design Course All Rights Reserved.